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神の火 『原発暴走列島』/鎌田慧

 「隕石が堕ちてきても大丈夫なように作れとでもいうのか」という発言があったとかなかったとか出所未確認情報で申し訳ないんですがどっかの原発関係の偉い人が言ったとか言わなかったとか。つまり地震だテロだと様々な脅威を言い立てて反対する人々に逆切れした発言と思われる・・・・。
 その昔、大学1年の頃だったか、取れる単位の上限を越えていたため正規の履修はできなかったが興味はあったので勝手に潜り込んだ授業に原発関係のものがあった。助教授だか講師だかがバリバリ反原発だったので内容もそれ一色だったのだが、基幹にあるのは「破綻したら国土に甚大な影響を及ぼすことが避けられない技術は使うべきではない」という強い意思であった。それが原子力だろうがなんだろうが関係ない、どんな技術であってもオシャカになる可能性がゼロではない以上、長く使い続けていれば必ず大なり小なりトラブルを起こす。そしてクリティカルなトラブルに発展した時、甚大な被害を長期にわたって撒き散らず原発は、だから作ってはいけないのだ、という話であった。
 そういうことを、原子炉建屋が爆発する様を指揮所のテレビで見ながら思い出したのだった。冒頭の原発関係者の隕石発言は「そんなこと気にしてたら原発なんか作れないじゃん!!」という怒りであるが、「いや、作れないんじゃないの?」という当然の結論に帰結して原発という技術をしまい込むところまでいかなかったことに、この国の責めがあると思う。なんとなく胡散臭さを感じつつも「電気もいるしな~」「隣り近所にあるわけじゃないしな~」という程度の後ろめさたを感じるのみで、結局現物が木っ端微塵になってドエライことになるまでモノホンの脅威として認識できなかったのだ(でも実は今でもソレは怪しい。西日本や北海道の人間がどんだけ危機感を持っているか)。

 ということでなぜか原発推進の本は少ないのに原発反対の本が山盛り出回っている(ま、その方が売れるというシビアな現実もあるんだろうな)中で、あんまり偏らないようにソコソコ知ってるノンフィクション作家の本を買ったのがコレ。
 ていうかもう中身バリバリのゴリゴリであって中身は原発政策・原発開発に邁進する政治家・業界に対する憎しみと怒りに満ちており、数十年にわたって取材を続けてきた怨念がページの間から立ち上る勢いだ。もう細部書いてもしょうがないが、「言われてみればそうだなあ」という情報もしくは「あ~、知ってたそれ」が並んでいるのであり・・・・その意味で不作為による責任を拙者も免れえない。
 ただし! 不作為の責任を拙者も含めた国民が広く負わなければならないことと、推進してきた全ての勢力の戦争責任追求はまた別ものである。この国は先の大戦の総決算も一億総懺悔の名のもとにうやむやに(あるいは一部のスケープゴートの一時的なパージ)してきたのであり、正しい総括のもと原発政策を見直さなければならない。(まあ早い話がやめろって話だ)
 ところでまえがきとあとがき以外はほとんど今まで筆者が出してきた本からの抜粋や抽出&焼き直しに見えて新しい情報がほとんどないのはちょっといかがかと思いますよ。まだ早かったかなあ、本買うの。

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