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鯨の王/藤崎慎吾

 実はこの人『クリスタルサイレンス』しか読んでいないのだが、内容についてマッタク記憶にない代わりにネガティブな記憶もなかったこと、表紙のマッコウクジラのような鯨の群れが不気味に泳ぐ姿にシビれたこと、深海ものをしばらく読んでいなかったこと、等を理由にほぼ衝動買い。
 マリアナ海溝付近で船殻にまったくキズを付けずに原潜の乗組員が外部からの攻撃により殺害された。敵の存在を考慮して最新鋭原潜を送り込む米海軍、メタンの観測のために設けられた海底基地で奇妙な音波を観測する米国研究スタッフ、そして海底で見つけた鯨の骨から新種の発見に意気込む家庭を捨てた鯨オタクの日本人学者。
 基本的にはこの3者おりまぜて海からの驚異に立ち向かう! みたいな。まったく相手とコミュニケーションが取れない深海での未知との遭遇はやはり緊張感が持続して面白い。米海軍と研究チームはバリバリハリウッドチックに頑張ってるのに日本人研究者のオッサンだけが緊張感なく嬉々として新種鯨発見に取り組むギャップも楽しい。ただテロリストのくだりだけがムリヤリでひどく浮いているのがちょっとなあ。そこだけが惜しい。
 でもお勧めデス。

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